新しいタイプの不眠症治療薬
Q.最近新しいタイプの不眠症治療薬が発売されたと聞きましたが、どのようなものでしょうか?
(天白区39歳)
A. 睡眠には、「夜になったから眠る」という体内時計機構と「疲れたから眠る」という恒常性維持機構の2つのメカニズムがあります。
体内時計機構は、夜の一定時刻になると眠くなるように、休息をとるタイミングに合わせて睡眠をとろうとするもので、松果体から分泌されるメラトニンというホルモンが関与しています。
朝に光を浴びるとメラトニンの分泌は抑制されて、脳と体は覚醒し、光の刺激を受けてから14016時間後にメラトニンが分泌され始め、体内時計の中枢のある視交叉上核のメラトニン受容体に結合し、体温やホルモン分泌
を調節して、脳と体を睡眠に適した状態にします。
従来の治療薬は、脳の活動を抑制することで睡眠を誘発しますが、新しい治療薬は、メラトニン受容体に選択的に結合して、鎮静作用によらない自然な睡眠を誘発します。